mathkyoproの日記

数学や競プロの問題を解説したりします。

シンプルな整数問題

$a + b + c + d = abcd$ を満たす非負整数 $(a, b, c, d)$ を全て求めよ。

 

(方針) 次数が異なる等式を解く整数問題では、小さい数しか解にならないことがあります。例えばこの問題では、左辺は1次ですが右辺は4次なので、数が大きいと右辺はすぐ大きくなります。例えば $a = b = c = d = 10$ とすると、左辺は $40$ にしかなりませんが、右辺は $1000$ になってしまい、大きい数では等式を満たさないことが予想されます。このような場合、不等式を利用することが有効である場合があります。 また、この問題のように対称的で数を入れ替えても式が変わらない場合は、$a \le b \le c \le d$ の範囲で考えることができます。

 

(解答) 対称性から、$a \le b \le c \le d$ としても一般性を失わない。このとき、$$abcd = a + b + c + d \le d + d + d + d = 4d$$ が成立する。$d > 0$ より、$abc \le 4$ が成立する。これと $a \le b \le c$ を満たす非負整数の組 $(a, b, c)$ は、$(a, b, c) = (1, 1, 1), (1, 1, 2), (1, 1, 3), (1, 1, 4), (1, 2, 2)$ のみである。

 

(1) $(a,b,c)=(1,1,1)$ の場合
$1+1+1+d=1⋅1⋅1⋅d$
が成立する。これを満たす非負整数 $d$ は存在しない。

 

(2) $(a,b,c)=(1,1,2)$ の場合
$1+1+2+d=1⋅1⋅2⋅d$
が成立する。このとき $d=4$ である。

 

(3) $(a,b,c)=(1,1,3)$ の場合
$1+1+3+d=1⋅1⋅3⋅d$
が成立する。よって、$5=2d$ であるが、これを満たす非負整数 $d$ は存在しない。

 

(4) $(a,b,c)=(1,1,4)$ の場合
$1+1+4+d=1⋅1⋅4⋅d$
が成立する。よって、$6=4d$ であるが、これを満たす非負整数 $d$ は存在しない。

 

(5) $(a,b,c)=(1,2,2)$ の場合
$1+2+2+d=1⋅2⋅2⋅d$
が成立する。よって、$5=4d$ であるが、これを満たす非負整数 $d$ は存在しない。

 

以上 (1) – (5) より、$a \le b \le c \le d$ の範囲で、題意を満たす非負整数 $(a, b, c, d)$ の組は、$(a,b,c,d) = (1,1,2,4)$のみである。

 

最後に $a \le b \le c \le d$ の制限を外して、$a + b + c + d = abcd$ を満たす非負整数 $(a, b, c, d)$ は、$$(a,b,c,d)=(1,1,2,4),(1,2,1,4),(2,1,1,4),(1,1,4,2),(1,2,4,1),$$ $$(2,1,4,1),(1,4,1,2),(1,4,2,1),(2,4,1,1),(4,1,1,2),(4,1,2,1),(4,2,1,1)$$

の $12$ 通り。